2021.12.13

【比較】除菌?抗菌?どちらの日用品商品が売れている??

データ分析<市場調査>

このマーケトピックスでわかること

・除菌・抗菌の違い
・ドラッグストアで「抗菌」「除菌」に関して売上調査の実施結果について。
・クリエーティブで迷った際には、ID-POS分析から決定することも可能。

 

 

はじめに

「入店前にアルコール消毒にご協力をお願いします。」

 

店舗入店の際には、入口付近に設置されているアルコール消毒する習慣が根付きました。
新しい生活様式では、こまめな手洗い習慣が求められるようにもなりました。
スーパーやドラッグストアを見回してみると、「除菌」「抗菌」と書かれた商品を見かけます。
実際に店頭に並んでいる商品をみて、我々編集部は、
「除菌」「抗菌」と書かれた商品ではどちらが売上を伸ばしているのか疑問に思いました。

 

電通リテールマーケティングでは、170万人のID-POSパネルデータを保有しており、売上の変化を追ってみます。

 

 

用語の定義について

結果解説の前に、この記事における「除菌」「抗菌」の定義についてお伝えしておきます。

 

 

除菌とは

「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすことです。

「医薬品・医薬部外品」以外の製品に記されることが多いようです(※1)。

※1 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.htm

 

 

 

抗菌とは

抗菌とは、「菌の増殖を抑制する」ことを指します。
表面上に菌が付着していて、その菌の増殖を防ぐことを指します。
商品自体に特殊な加工が施されており、加工されたことを抗菌としているようです。

 

 

調査方法

電通リテールマーケティング保有の170万人のID-POSパネルデータを保有しており、売上の変化を追ってみます。
商品名に「除菌」「抗菌」と書かれているものを分類し、ID-POSから売上分析を行いました。

 

・医療品は除いて調査しております(石鹸、アルコール消毒液、次亜塩素酸水など)。

 

・家庭用品は以下のものを指します

(バス・トイレ・キッチン用品、ファブリック、なべ、かま、キッチン用刃物、

食器、卓上用品、清掃用品、包装用品、歯ブラシ等)。

 

・日用雑貨は次のものを指します

(防虫剤、トイレットペーパー、芳香剤、食器洗剤、洗たく洗剤、シャンプー、

衛生用品、小間物、化粧品、ティッシュペーパー、使い捨てカイロ等)。

 

 

 

どのような変化があったか

2018年9月から2020年1月までは、大きな乖離はみられません。
ところが、2020年2月を境に、「除菌」と書かれている商品は売上を伸ばしています。
当時は「新型コロナウイルス」という言葉が出始めた時期です。
スーパーやドラッグストアでトイレットペーパーや保存食などの買い占めが起きました。

 

 

しかし、2020年11月に「抗菌」と書かれた商品が逆転しています。

医療従事者向けのワクチンが開始され、家に居る時間が増加した時期です。

この時期を境に、「抗菌」が「除菌」を上回っている傾向がみられます。

 

 

考察

第2波から第3波の間、ワクチンの普及が大幅に進みました。

商品名に「抗菌」と書かれていることで、

自己防衛機能を強化するニーズを満たすために、「抗菌」と書かれているのではないでしょうか。

 

また、商品の名称を決めるクリエーティブに落とし込む際、

ネーミングを「抗菌」「除菌」のどちらにするか迷われたには、

「抗菌」と書かれていたほうが直近の売上は向上するのかもしれません。

まとめ

今回の調査はあくまで「アルコール消毒液」などの医薬品カテゴリーは除いています。

商品名の違いで売り上げに違いがでることが理解できました。

商品名を決定するクリエーティブテストをするにも、ID-POSを活用して意思決定することも大切です。

スーパーマーケットやドラッグストアのパネルデータから、

どの商品名にするかなどの分析も可能ですので、ぜひご相談ください。

マーケトピックス

ID-POSに関する記事もご覧ください。

【解説】コロナ禍におけるドラッグストア購買行動の変化

流通・小売の購買状況を把握するデータソースについて