2022.04.15
コロナ禍のスーパーマーケットID-POSデータを用いた調理加工食品の購買状況変化
データ分析<市場調査>
このトピックスでわかること
・スーパーマーケットにおける食品全体の売上前年比
・コロナ禍における調理加工品の購買行動の変化
・緊急事態宣言下の購買行動データ分析
はじめに
東京都ではまん延防止等措置が明け、
新型コロナウィルス感染者数が落ち着いてきたものの、リバウンドを防ごうとする風潮があります。
電通リテールマーケティングでは全国の全国スーパーマーケットID-POS 230万人パネルを保有し、
流通・メーカーのデータ分析サービスを行っております。
2021年10月までのID-POSデータからスーパーにおける食品売上カテゴリーを調査しました。
売上推移から、コロナ前・コロナ禍でどのような変化あったかを紐解いてみます。
調理加工品とは
ここで記述する調理加工品とは、具体的に「ごはんの素・具」「パスタソース」「鍋の素」などを指します。
また、厚生労働省は調理加工品について下記のように定義しています。
「調理加工品とは、原料魚介藻類を加工に適した形態に処理(ブランチングを含む)した上で、
味付け、又はころもかけ等の他の食品(調味料・香辛料等を含む)を付加する調理加工を行うことにより、
嗜好性、利便性、貯蔵性等を高めた製品の総称である。」引用:厚生労働省「非加熱性水産加工食品製造職種(調理加工品作業)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000684049.pdf (参照 2022-04-13)
ここでは、スーパーなどで販売している調理加工品について記述します。
調査方法
そこで、マーケトピックス編集チームは以下のデータを使用して分析を行いました。
分析使用データ:電通リテールマーケティング全国スーパーマーケットID-POS 230万人パネル130店舗データ
分析期間:2018年11月~2021年10月(3年間)
売上前年同月比からみる調理加工品全体の傾向
昨年コロナ感染始まり時期における売上増の反動を受け、
コロナ禍が始まる2020年1月を境に昨年比が向上しました。
2021年春先は落ち込んでいますが、2020年と比較しているため、落ち込みが激しくなっています。
直近の2021年夏ででは前年並に回復しており、安定した傾向にあります。
※売上前年同月比とは
売上前年同月比とは、前の年の同じ時期に、同じ条件で採集したデータと比較することを指します。
緊急事態宣言下での調理加工品全体の傾向
緊急事態宣言は都道府県別に発出されていますが、ここでは東京都を例にとって説明します。
2020年の1月を境に、調理加工品の前年比売上が向上しています。
第1回の緊急事態宣言を振り返ると、
「ソーシャルディスタンス」「新しい生活様式」という言葉が生まれた時期でもあります。
宣言下では外出を控えていたため、前年比売上が減少しました。
また、これらの調理加工品は、食品に比べて賞味期限が長いという特徴があります。
「買いだめ」「貯蔵用」「非常事態の備え」として購入したともとらえることができます。
また、いままで自炊習慣がなかった人などが買ったことも影響しているのかもしれません。
第2回緊急事態宣言でも、宣言直前に売上前年比が伸長しています。減少傾向にあるのは、2020年の売上が高かったこともあり、反動があるものとみられます。
第3回・第4回の緊急事態宣言では、大きな変動はありませんでした。この時期に出てきた言葉として「宣言慣れ」といった言葉がマスコミ記事で取り上げられました。また、夏ということもあり、温かい鍋料理やスープ類を食べる習慣がなかったことも影響されるのではないでしょうか。
まとめ
緊急事態宣言が落ち着き、売上前年比は落ち着いている状況です。巷でささやかれる「自炊する人が増えたのではないか?」という仮説は、調理加工品を買う習慣が影響しているのかもしれません。
これからもマーケトピックス編集チームでは、自社で抱える食品ID-POSデータを基に、トピックスを更新して参ります。
マーケトピックス
ID-POSデータ分析の本質①<基礎と活用事例>
ID-POSデータ分析の本質②<基礎と活用事例>
事例
【購買データ分析】流通保有の会員データ分析・コンサルティング
ホワイトペーパー
【メーカー様向け】2022年リテールを取り巻く現状・ID-POSの分析・集客活用事例
【小売業様向け】2022年リテールを取り巻く現状・ID-POSの分析・集客活用事例
最後に
電通リテールマーケティングは、創業当時より、流通・小売や消費財メーカーをはじめ多種多様な業種業態の皆様にデータ分析、データコンサルティング、データ基盤構築、データ分析結果を活用したデータマーケティング事業を展開しております。
・ID-POSデータは保有しているもののデータ分析に活かしきれていない
・自社商品の店頭マーケティングをよりデータドリブンにしていきたい
・データ分析基盤の構築やデータ分析のさらなる効率化を目指したい
といったご要望があればぜひお気軽にお問い合わせください。