2025.01.12
売り場トレンドレポートvol.6「街と街をつなぐ複合施設」
Z世代
「売り場トレンドレポート」vol.5
電通リテールマーケティングと電通tempoの共同プロジェクト「ジェネキュン」
では、Z世代メンバーが気になるお店を見に行き、その様子をレポートとして発信しています。
Z世代ならではの目線で、そのお店の魅力や見どころ、さらには売り場づくりのアイデアに繋げられそうなポイントを紐解いていきます。
第6回目となる今回は、『街と街をつなぐ複合施設』についてのレポートです。
売り場トレンドレポートvol.6「街と街をつなぐ複合施設」
ジェネキュンプロジェクト Z世代メンバーのたにがわです。
趣味は音楽とイラストです。
今回、私は「街と街をつなぐ複合施設」に行ってきました!
まだ開店して間もない施設なのですが、開業時に「オープン」ではなく「まちびらき」という言葉を使っていたらしく「街と街をつなぐってどういうことだ?
ほかの商業施設とはどう違うのだろう?」と興味を持ち、今回視察してみることにしました。
街とつながった施設
まず入って感じたのは、「一つの施設というより本当に一つの街みたいだな」と言った印象です。
明確な入り口が設定されておらず、街の地形に沿って至る所に階段やスロープなどが設置してあり、基本的にどこからでも施設に入れました。
気軽に入りやすい構造のためか館内には小さなお子さんと散歩を楽しんでいる親子や、ワンちゃんを連れている方もいらっしゃり、街とのつながりを感じました。
また駅の改札と直結しているため、街の玄関としての役割も果たしており、人の流れが多かったのが印象的でした!
施設に入る抵抗感が全くない、というのがこの施設の大きな特徴だと思います。
3つのステージ!
この施設には「ステージ」と呼ばれる3つの広場がありました。
1つ目は、立体的に組まれたサイネージが特徴のステージです。
1階から3階に渡って縦に広がるステージで、施設の中心的な存在でした。黒い壁色と鏡面貼りの装飾、そしてサイネージから常に流れるモーショングラフィックによって近未来的な空間が広がります。
2つ目は、人工芝生と水盤が設置された広場型のステージです。
1つ目と違い屋外庭園のような空間で、立方体から構成された木のようなオブジェから、幻想的な音楽が流れたり、水盤から水の流れる音が聞こえたりと落ち着いた雰囲気を感じられる空間になっています。
水盤があまりにも自然に配置されていたので、思わず踏んでしまい靴がびしょ濡れになりました(笑)。
こちらのステージは、夜になるとセンサーが人の動きを察知し、照明や音楽を変えていくとのこと。
リアルタイムで演出が変わるのは面白いですね。
3つ目は緑に囲まれた、公園のようなステージです。
余計な装飾は一切なく、ベンチと芝生と木で覆われた空間になっており、お弁当を持参して食べている方が多く見受けられました。
3つのステージともそれぞれに特徴があり、訪れる人を飽きさせない工夫が施されていました。
売り場の印象は?
次に売り場の特徴ですが、「施設内が複雑に構築されている」 といった印象を受けました。
通常の商業施設のようにただ壁や柱で区切られているだけのお店でなく、1店舗だけのために小さな小屋のような建物が作られていたり、店ごとに入り口の見た目が建物のようになっているエリアもあれば、店と店の区切りがないエリアもあったりと、とても自由な作りになっているのが特徴でした。
また、エスカレーター前の通路にいきなりポップアップショップが設置されていたり、本屋の中にクリエイターとのコラボグッズの店が入っていたりなど、従来の商業施設とは違う、型破りな雰囲気を感じることができました。
あったらいいなと思う売り場アイデア
今回の店舗視察を通して、あったらいいなと思う売り場アイデアを考えてみました。
例1)テナント同士の括りがない商業施設
「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉が流行るように、Z世代は効率の良さで物事を決める傾向にあるといいます。
そこで従来の商業施設のように一つ一つのテナントで場所が区切られているのではなく、一つのフロア内に全ての店舗の商品が特定のジャンルごとに分かれて陳列されているお店があったら面白いなと思いました。
例えば、洋服のコーナーにはA店の服もB店の服も同じ場所に置いてあったり、楽器屋のギターコーナーの隣に書店のギター本が置いてあったり、ネットショッピング中によく表示される「こちらの商品もご一緒にいかがですか」が実際の店舗で展開されていれば効率的に買い物ができるのではと考えました。
商品の口コミや使い方が、SNSではなく売り場に消費者目線で書かれていると良いなと思います。
例2)「推しと買い物できるお店」
スーパーマーケットやコンビニでの買い物中に「推し」と会話できる売り場というのを考えました。
センサー付きのカゴとスマホを同期させ専用アプリから推しを設定することで、商品をカゴに入れたり店内を移動したりすると「あ!そのお菓子僕も好きなんだ!美味しいよね!」や「飲み物買うの?喉乾くよねー」など、推しが自分の動きに合わせてイヤホン越しに話しかけてくれる、というお店です。
店舗によって「〇〇店はあのアイドルグループとコラボ!」「△△店はあのアニメとコラボ!」とコラボコンテンツを変えることで普段入らないお店に行くきっかけ作りにもなります。推し活が流行る昨今、まるで推しと買い物しているような気持ちになれる店があれば盛り上がるのではないかと思いました。
まとめ
今回「街と街をつなぐ複合施設」に足を運び、商業施設のあり方が変化しているのを実感しました。
土地や街並みとの境界線をなくした設計や、テナントの形を一つに定めない売り場つくりなど、ただものを売ろう、買おうといった目的だけで作られてきた従来のお店とは違い、その施設そのものを楽しもうという目的で作られた空間のように感じました。
以上、「街と街をつなぐ複合施設」についてお伝えしました!
今後もZ世代が気になるお店を見に行き、レポートを発信していく予定です。
2025.1.10
vol.5はこちら!⇒売り場トレンドレポートvol.5「Z世代が創るZ世代のためのディスカウントストア」
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